(最終更新 2018年 6月10日)
皆さん治験って聞いたことありますか?
また、聞いたことはあってもやったことがあるという方はもっと少ないんじゃないのでしょうか?
皆さんが風邪をひいたときに飲む薬、
または診断や治療の際にお世話になる医療機器、
全てがこの治験を経てから世に出てきます。
そして筆者は一時期この治験に協力していたことがあります。
本記事は治験に対して少しでも興味がある方や、
また、参加を考えているので詳しく知りたいといった方たちのため、
経験者の視点で書いていきたいと思います。
治験って何をするの?新薬のモニター?いくらもらえる?安全なの?
治験とは、
法律上の承認を得るために行う臨床試験のことです。
「治療の臨床試験」
これを略して治験と呼ぶんですね。
もっと簡単に説明すると、
治験協力者に入院してもらい、新薬や医療機器の効果や副作用を試験する。
という意味になります。
なので基本的には治験と言ったら継続的に入院や通院をしなければならない。と覚えておきましょう。
その病院も行えるところと行えないところが分かれており、
厚生労働省の「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」に定められた要件に満足する、
医療機関のみが行うことが出来ます。
その要件とは、
・責任を持って治験を実施する医師、看護師、薬剤師等がそろっていること
・治験の内容を審査する委員会を利用できること
・緊急の場合には直ちに必要な治療、処置が行えること
(出典:「治験」とは(厚生労働省) http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu1.html 2018/6/10利用)
これらをすべて満たしている機関でなければ治験は行えません。
なので当時治験に参加する事に不安があった筆者も、
この情報を知って安心して指定の病院に向かうことが出来ました。
治験でいくらもらえる?実例で紹介!
治験とはなにか?それが分かったら次に皆さんが気になるのは、
「いくらもらえるのか?」といったところですよね。
結論から言いますと、相場で1日当たり1万~2万円です。
この日当は治験の拘束時間に比例して上がっていきます。
たとえば2週間通院して毎日4時間ほど試験に協力するものと、
1週間病院に入院し臨床的に試験を受けるものでは、
後者の方が高い金額をもらえます。
これは入院中の何もしていない時間も拘束している扱いで、
時給が発生していると考えると分かりやすいですね。
さて、補足として筆者が経験したものを表にして何パターンかご紹介したいと思います。
治験の実例表
タイプ | 備考 | 期間 | 金額 |
通院 | ドリンクの試飲 最初と最後に採血 競争率低め | 1日 | 1万円 |
通院 | 自宅で健康食品接種 5回通院して検査と診察 競争率低め | 1週間(通院5日間) | 7万円 |
通院 | 医薬品の試験 1日5時間ほど 競争率低め | 2週間(毎日) | 20万円 |
入院 | 事前検診有 競争率低め 外出不可 | 1泊 | 3万円 |
入院 | 事前健康診断有 競争率低め 外出可能 | 事前検診+12泊 | 25万円 |
入院 | 事前健康診断有 競争率高め 外出不可 | 1か月間 | 50万円 |
表にするとあっさりしていますが、
協力している期間中は結構長く感じます。笑
また、鋭い方は気づくかもしれませんが、
1か月の治験が50万円なのに対し、
12泊の治験は25万円。
「12泊を2回やった方がいいじゃん!外出もできるし!」
なんて思いますよね。
ですがここには治験の4か月ルールというものがあります。
その名の通り一回治験を受けると4か月は他の治験を受けれないというルールです。
上で紹介しました治験を行うことが認められている基準を満たした医療施設は、
ほとんどが臨床試験受託事業協会(以下、臨試協)というものに加盟しております。
治験を受けるとこの臨試協に情報が登録され、履歴として残るため、
ごまかすことは出来ないんです。
ちなみに余談ですが、
治験によって支給されるお金の名目は「負担軽減費」といいます。
治験協力費というところもあるそうですが、
ほとんどの医療機関が負担軽減費を好んで使っているそうです。
治験による精神的、肉体的な負担の軽減に当てたお金という意味合いだと考えると、
製薬企業や医療機関からの協力者に向けての配慮を感じますね。
在宅で出来ないの?主婦にはモニターをおすすめ!違いを解説
「在宅でできる治験は無いの?」
家事に追われる忙しい主婦の皆さんはそう思いますよね。
なのでそんな方たちにはモニターをおすすめします。
治験モニターという言葉がありますが、それも単にモニターの事を指しています。
モニターですと主に自宅を主体に試験を行うことが出来ます。
ではそのモニターについて、詳しく説明します。
治験とモニターって何が違うの?
それは試験するものと通院の量で決まります。
治験が新薬や医療機器の試験に対し、
モニターは健康食品やサプリ、医薬部外品をメインに試験します。
そして通院も、
その試験物の受取りと使用前の検査で最初に一回、
試験物の返却と使用後の検査で一回で、
前後計2回で完結します。
期間が長いものだと途中経過で通院が必要になるかもしれませんが、
日数に比べ通院が少ないことがモニターのメリットになります。
ですがその分やはり治験よりも金額が安くなってしまいます。
モニターになると1週間で1万円ほどが相場です。
基本的に試験するものに影響が出ない範囲ならば、
日常生活の中で禁止されていることもないので、
記載したように主婦の方、それ以外でも忙しく通院の暇がない方におすすめです。
ちょっと待って!結局治験って安全なの?
やっぱりここが気になりますよね、
ですが前述したように治験についてはしっかりと厚生労働省によって定められた基準があります。
それは行う医療施設について、
試験する医師たちについて、
そして被験者の安全についてしっかりとルールが組まれています。
悪い言い方をすると治験とは人体実験なのですが、
人間に試験する前に何段階も試験を繰り返し、
より安全にされていったものが治験を行うことが出来ます。
「より良い医薬品を作りたい。」といった意識のもとに出来た仕事なので、
「負担軽減費」という言い回しと同じく、被験者の安全について最優先で考えられています。
なので一般の人がルールに従って参加する分には、
危険性は限りなく低いと言えます。
さらにもし万が一、体に異常が出た場合は製薬会社からの保証があります。
医療手当や休業補償金も出ますし、治験の実施場所は病院です。
迅速な処置を受けることが出来ます。
もちろん後日の異常でもこの保証は利用できます。
参加の前に!CRCやJCVNって何?覚えておくべき用語解説
治験に関して調べてみると分かるのですが、
さすが医療系といったところでしょうか、、、
英語を使った難しい単語が結構出てきます。
なので基礎知識として知っておくべき単語をここにまとめます。
後述する治験の参加の流れ等にも出てくる単語もありますので、、
CRC
略称でない表記は Clinical Research Coordinator
治験協力者のことで、治験コーディネーターとも言われます。
一見治験に協力と考えると自分たちの事かと思いますが、
実際は看護師、薬剤師、検査技師さんの事を指します。
治験についてのスケジュール管理や患者のサポート、
書類作成など治験実施において大きな役割を持っています。
GCP
Good Clinical Practice
厚生労働省により定められた、治験を行う際に守るべきルールの事です。
簡単に説明すると、被験者の権利と安全についての基準が書かれています。
SMO
Site Management Organization
治験施設支援機関の事です。
医療機関と契約し、そこで行われる治験業務を支援する組織です。
主に治験の開始の補助、実施する前段階の補助、CRCに対しての教育、
そういった事をサポートしています。
CRO
contract research organization
開発業務受託機関と言います。
製薬メーカーが行っている新医薬品の開発等、様々な業務を代行する機関です。
CRA
Clinical Research Associate
モニターの事です。
ここでいうモニターとは上記で紹介した在宅被験者の事ではなく、
治験依頼者が任命する人の事です。
治験が計画や法令を遵守し、科学的・倫理的に行われているかを確認します。
治験に関する記録を閲覧することが可能で、
被験者の安全や人権が保護されているか、正確なデータで行っているか、
それらを確認する義務があり、医療機関と治験依頼者の情報交換も、
モニターを通してになります。
IRB
Institutional Review Board
治験審査委員会のことです。
被験者の人権や行っている治験が正しいか等を審議する組織です。
医学・薬学等の専門家で組織する独立した委員会で、
第三者的視点から治験を監視しています。
JCVN、CVS
Japan Clinical Volunteer Network
Clinical Volunteer Support
どちらも共に、治験やモニター募集を呼びかける企業です。
治験に参加したい場合はこちらを検索すると、流れ等も分かりやすいと思います。
こういった企業は多数存在しており、
「治験ボランティア 登録」で検索をすると結構な数が出てきます。
今回は検索上位に表示されるこの2社が略称で呼ばれることが多いのでピックアップしました。
どんな案件があるのか、ぜひ探してみてください。
では必要な単語を理解したところで、
ついに参加の手順、方法などをご紹介します。
治験はどうやって参加できる?募集条件や方法を紹介
では本章で治験への参加の仕方を説明します。
直前でご紹介したJCVNを例にします。
JCVNのサイトに行き「治験に参加するまで」というページに行きます。
そしてこの新規治験ボランティア登録という欄の「仮登録はこちら」ボタンをタップ。
その先で名前や生年月日等の個人情報を入力して仮登録完了です。
ですがあくまで仮登録、
企業が開いている治験ボランティアについての説明会に一度参加しなければ、治験の申し込みは出来ません。
説明会参加で初めて本登録完了となり、
サイト上に掲載された治験ボランティアに申し込みが出来るようになります。
そして参加する治験のタイプによって、
事前検診などを受け、申し込みの合否連絡が来ます。
すべての治験ボランティア募集サイトでこの流れは同じです。
また、申し込むにあたって気になるのは条件ですよね。
基本的には条件はあるものもありますし、ないものもあります。
もっと言うと高齢で肥満体系の方を募集している案件もあれば、
普通体系の女性を募集、男女構わず何歳以下を募集など種類は様々です。
なので治験に関して募集されていないなんて人はいません。
どんな方でも新薬の開発に役立つことが出来ます。
アルバイトならこの使い方!おすすめの活用法とは!
ではここでは効率的にアルバイトに活用する方法を紹介します。
ちなみに入院タイプや通院の多いタイプは活用しづらい面があるため、
ここでは主にモニターの紹介になります。
モニターは健康食品やサプリ、医薬部外品が多いと言いましたよね。
この医薬部外品というのが、実は種類が豊富でねらい目だったりします。
つまり、その時悩みの症状についてのモニター募集を探す。
これが筆者おすすめの活用の仕方です。
たとえばニキビに悩んでいるならばニキビケアの案件に応募するといった感じです。
新薬だから怖いという意識もありますが、
治験を行う段階まで来ている物はその前の色々な試験をパス出来た安全なものです。
それに事前検診もあるのでそれを通ったらほぼその人自身に安全なものと言えます。
筆者はその活用法で特に肌関係は自分で薬を購入することはなくなりました。
よく同年代と比べてきれいな肌をしていると言われます。
このスキンケア系の案件は大手製薬企業から結構な数出ているので、
本当におすすめします。
治験ボランティアのおすすめサイトを紹介!
昔に比べ今ではさらに条件のいい治験ボランティアの募集サイトが増えました。
なのでここでは筆者がおすすめする
2018年現在、治験を始めるならここしかないというサイトをご紹介します。
また、治験ボランティアの募集サイトに加え、モニター重視の募集サイトも、
共にランキング形式にして発表します。
治験ボランティアおすすめサイトランキング!
【1位】 治験情報サイト NEW-ING(ニューイング)
・20~39までの一番治験に参加している年齢層の男性の案件が豊富!もちろんそれ以外も多数!
・女性の月経不良、年配の方の更年期等多くの案件に向き合っている!
・健康から傷病中まで、様々な人を対象の案件を取り扱っている!
NEW-INGホームページ http://www.new-ing.jp/
【2位】 InCROM(インクロム)グループ
・糖尿病などの生活習慣病の治験に特化している。
・脱毛等の稀な治験案件を取り扱っている。
InCROMホームページ https://www.incrom.com/
【3位】 大手のJCVN
・大手なので案件が集まりやすい。
・WEBでの案件検索が楽。
JCVNホームページ https://www.jcvn.jp/
モニターおすすめサイトランキング!
【1位】 エル・スマイル ボランティア会
・健康食品でおなじみトクホの案件多数。
・日本人を健康にするをコンセプトにモニターを行っている。
・サプリメント、化粧品、医薬部外品等女性向けの案件が多い。
エル・スマイルホームページ http://www.lsmile.co.jp/index.html
【2位】 大手のJCVN
・キャリアが長いので初心者モニターでも手が出しやすい。
・案件数はやはり多い。
JCVNホームページ https://www.jcvn.jp/
【3位】 InCROM(インクロム)グループ
・年2回のアンケートに答えるだけ等お手軽なもの多数。
・定期的に健康食品使用のお弁当の実食モニター開催。
InCROMホームページ https://www.incrom.com/
まとめ
これで治験についての紹介を終わります。
ここまで読んでも「やっぱり怖い」という方いますよね。
筆者が治験に参加しようと思ったきっかけも元々は「怖いけどお金がいいからやってみよう」でした。
ですが参加を重ねていき、新薬開発に携わる方たちとの交流を経て、
この治験という仕事の重要さ、医学への貢献の深さを知りました。
現在の医療はすべて試験や実験で成り立っています。
つまり昔から試験を重ねることで、
今では重大なけがや病気にかかっても回復出来るようになりました。
だとすると今でも治らない、直すのが困難な病気が治るようになるためにはどうするか。
今の自分たちが少しでも多くのデータを医学に提供することが近道なんだと、
筆者は思います。
この記事を読んで新しく興味を持ってくれた方がいると嬉しいです。